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美肌神話から目を覚ます①

突然ですが、みなさんは、どんな異性の顔がお好みですか? 目が大きい、口が小さい、鼻が高い、眉毛が太い、頬骨がほどよく出ている。顔のひとつひとつのパーツを見ても、好みはさまざまです。目鼻立ちの好みは人それぞれですが、肌の状態についてはどうですか? 手のひらで他人に触れたときに、ガサガサして弾力のない肌と、しっとりとしてモチモチとした肌では、後者に軍配が上がるでしょう。年齢に関係なく、キレイな肌に対する好みは、全ての人に共通していると思います。美肌に対する好みが共通の上に、肌の基本構造もみな同じ。ならば、スキンケアの方法さえ間違えなければ誰でも美肌を実現できる。そう思う人はいるはずです。

シミやシワが気になり始めた頃に、スキンケアや顔のマッサージなどで「美肌」を実現している人を見たら、同じ方法を実践してみたいと思いませんか? ところが、その人と同じ方法を実行しても、シミやシワは消えない。キレイな肌のイメージは共通しているゆえに、他人から見ても自分の肌は衰えていると思われる。考えただけでもため息が出そうです。手を抜いたわけではなく、最新の方法も実践している。だけど、肌の衰えは隠せない。みなさんの努力が報われないことに、私は心が痛みます。高価な化粧品を買い、たくさんの時間を割き、それでも美肌を得られない。時間とお金が失われただけで、肌の状態は変わらないのですから。しかし、今日からのその努力を止めていただきたい。美肌神話から目を覚ましていただきたいのです。

どんなにお金と時間をかけても美肌が実現できないのは、方法こそが問題といえます。逆に、お金と時間が掛けられない方でも、方法さえ間違わなければ美肌を実現できます。「あの人と同じものを使って、同じ方法でスキンケアをしよう」という考えそのものを捨てていただきたいのです。肌の基本構造が同じといいましたが、人間には細胞の個体差があります。構造は同じでも細胞ひとつひとつの強度や寿命は人それぞれです。その差は、生まれたときから細胞の中の遺伝子で決まってきます。子どもの頃からソバカスができやすい人、肌の色が濃い人、あるいは、白い人、肌の弾力が弱い人、刺激を受けるとすぐに炎症を起こしてしまう人、それら全ては遺伝子が関係しているのです。

ピーリングのしすぎは禁物!②

一般的にニキビ防止やシミを取るための化粧品には、ごくわずかな酸しか入っていないため、健康な状態の肌であれば、使用しても問題は生じにくい。しかし、すでにダメージを受けている肌には悪影響を及ぼすことがあるのです。多くの女性は、毎日のようにお化粧をしています。化粧品には鉱物などが入っており、肌にとっては刺激物になるため、寝るときには洗顔して化粧品を落としているはずです。この洗顔中にも、肌の表面の古い角質層ははがれ落ちています。汗でも落ちにくい化粧品を使用している方はいますよね。それを落とすために、クレンジングと洗顔料を使い、指先や手のひらで何度も肌をこすり、何回も顔を水で流しているうちに、ピーリングした後のように肌の表面の角質層は失われていることがあるのです。

この状態で、今度は、ピーリング剤の入った石鹸などを用いたらどうなるでしょう。答えは簡単です。ピーリング剤が肌の表面だけでなく奥までダメージを与えてしまうのです。すでに女性の中には、「ピーリングの後に肌が赤くなった」「肌がヒリヒリ」としたなどの経験をされている方もいると思います。赤く炎症を起こし、ヒリヒリと痛いのは、肌の奥までダメージが及んでいる証でもあります。なぜならば、肌の表面の角質層には神経も血管も通っていないため、炎症を起こすことも痛みを感じることもあり得ないからです。つまり、痛みや赤みが生じたときには、角質層の下の肌の組織が炎症を起こしていることになるのです。肌の奥が炎症を起こすと、紫外線などの身体の外からの敵も侵入しやすくなるだけではありません。

不必要となったメラニン色素が身体の外に捨てられにくくなり、メラニン色素を生み出す色素細胞も、暴走を始めてどんどんメラニン色素を作るようなことも起こります。シミを消すはずのピーリングで、新たなシミを生み出してしまう。こんな状況は避けなければなりません。とはいえ、ピーリングも肌に合った方法で行えぼ、ニキビ痕も肌の表面近くに生じたシミも消すことができるため、美肌には役立ちます。ただ、無暗にピーリングを行って肌に悪影響を及ぼさないように注意していただきたいのです。ご自身でどう行えばいいかわからないときは、皮膚科の医師に相談してみてください。

ピーリングのしすぎは禁物!①

美白の化粧品でも消えないシミをなんとかしようと、「ピーリング」を行っている人もいるでしょう。ピーリング化粧品には、グリコール酸やフルーツ酸などの成分が配合されています。これらの成分の「酸」の力で、肌の表面の角質層を軟らかくして、シミをはがし落とすという方法です。シミが肌の表面近くにあれば、その表面をはがすことでシミも消すことが可能です。また、こキビも、肌の表面の毛穴が塞がって起こるため、蓋となっている角質層を取り除いて毛穴を開くことで、こキビは治りやすくなります。加えて、ニキビ痕で陥没した肌も、ピーリングの後に肌の表面が新しい細胞で満たされればきれいになります。

皮膚科でも、一般的にシミやニキビ痕を消すために、ケミカルピーリングの治療が行われています。専門の医師が治療し、肌のケアも指導してくれるはずです。肌の治療で行われているピーリングですが、みなさんもご自宅で気軽に体験できるようになっています。ピーリング剤を配合した石鹸や化粧水、乳液などが店頭にはたくさんあるからです。ご自身の肌に合わせて購入する選択肢は山ほど。そんなピーリングのブームといえるほどの状況に疑問に感じていたところ、「ピーリングをしたら肌が赤くなっちゃたんです」という患者さんがいました。「普通にピーリング剤入りの洗顔料を使用していただけなのに、頬骨の辺りが赤くなって痛い」とおっしゃって、その方の肌を見ると炎症を起こしていました。

シンプルな成分のスキンオイルを塗って保湿し、紫外線に当たらないようにアドバイスしたところ、数日後には肌が正常に戻ったので、「なぜピーリングをしたの?」と尋ねてみました。「だって、頬骨のシミが気になって、ピーリングなら消せると思ったのです。でも、ピーリングを1回しても消えないし、もっとたくさんピーリングをすれば消えるかと思ったのです」この話を聞いて驚きました。過剰なピーリングは、肌にダメージを与えかねません。このことを知らないまま、ピーリングを繰り返している人がいたのですから。幸いこの方の肌は、保湿と紫外線対策で正常に戻りましたが、方法と肌の状態によっては、余計にシミが増える可能性もあるので注意が必要です。

オーガニック安全神話②

オーガニック化粧品が肌にとってパーフェクトにいいとはいえないのです。合成保存料が入っていないということは、成分が変質しやすいことにつながり、また、肌の弱い人には配合されている成分が刺激になることもあります。オーガニック化粧品は、化学物質を加えずに、自然の素材を用いているという特徴があります。化学物質は人体に悪影響を及ぼし、自然のものは身体にいい。このロジックは、アレルギー体質の人には当てはまらないのです。敏感肌でない方も、自然のもので肌に影響を受けることがあります。うるしの木を触って肌がかぶれることはあるでしょう。毎春多くの人を悩ます花粉症も、スギやヒノキの花粉が原因です。

カニやソバなどの食べ物で、じんましんや喘息、ひどいときにはショック状態に陥る人もいます。自然イコール人体にとって安全とは必ずしもいえないのです。一般的に肌にはビタミンCが効果的な働きをするといわれています。レモンを食べると、それに含まれるビタミンCは、肌のコラーゲンが作られることをサポートし、抗酸化作用で肌の細胞が酸化によってダメージを受けるのを防ぐなど、肌に役立つことはたくさんあります。しかし、レモンであればどう使っても効果がある、ということではありません。ずいぶん昔の記憶ですが、真夏の紫外線を浴びた後に、レモンの輪切りを顔の上にのせる美容法がありました。

レモンに含まれる抗酸化作用を活用して、紫外線によってダメージを受けて酸化した肌をケアするという考え方だったと思います。ところが、レモンは強い酸性の果物です。直接肌に置くと、強い酸が肌の表面の角質層を破壊してしまうのです。肌の細胞を守るはずのレモンによって、肌は健康を取り戻すどころか紫外線を体内に侵入させやすい状態にしてしまいます。レモンを食べるのはいいけれど、輪切りにしたレモンを顔にのせるのはダメ。このように、たとえ安全といわれるオーガニックの化粧品でも、使い方を誤れば肌にダメージを与えることはありえるのです。特にアトピー性皮膚炎の人の肌は、そもそも表面の角質層が破壊され、肌の奥に免疫細
胞が集結していますので、わずかな刺激に対してもかゆみの症状を引き起こします。

オーガニックであっても、肌には「刺激」として伝わってしまうのです。最も大切なのは、刺激を避けて炎症を止めること。化粧品をなるべく使用しないで、肌の健康を取り戻すことが先決と言えるのです。もちろん、オーガニック化粧品を使って肌の調子がいいと感じている方は、そのまま使うことに異論はありません。それは、オーガニック化粧品だけでなく、普通の化粧品についてもいえることです。ただ、「オーガニック化粧品イコール安全」という考え方は、肌が敏感な人はど捨てていただきたいと思います。安全神話に基づく商品選びではなく、ご自身の肌に合ったものを選ぶように心がけてください。

オーガニック安全神話①

アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、「オーガニックの化粧品を使っている」という方がいます。アトピーなどの症状がない、普通肌の方々の中にも、肌を守るために、合成保存料の入っていない化粧品を選んでいる方はいます。保存料というのは、商品の成分が変質しないように加えられている成分です。たとえば、炊きたてのご飯も、そのまま放置しておくと、乾燥してカサカサするだけでなく数日もすればカビが生えるはずです。私たちの身の回りには、目に見えない細菌がたくさんいますので、食品だけでなく化粧品にも雑菌は付着します。それが化粧品の中で増えてしまう。あるいは、化粧品の成分によっては、空気に触れることで性質が変わってしまうものもあります。

それを「酸化」といいます。いずれにしても、新しく買った化粧品の梱包を開けたときから、成分は変化しやすい状態になるわけです。そんな変性を防ぐのが保存料です。人工的に作られた合成保存料は化学物質のため、肌が敏感な方には、刺激となる可能性があります。また、「化学物質は健康によくない」と考える方々もいるため、保存料の入っていないオーガニック化粧品もあるのです。オーガニックは、遺伝子組み換えや、化学合成された肥料などを使わずに育てられた作物に由来します。害虫や病気を防ぐための農薬は、土壌に悪影響を与え、作物への栄養価も減少させ、健康被害のリスクもあります。

農家の方々にとって、大量生産のためにはなくてはならない農薬ですが、健康への関心が高まるにつれて、オーガニック関連商品の人気は高まっているのです。もちろん、使用されている化粧品で肌の状態がよければ問題はありません。しかし、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、オーガニック化粧品を使用しているがゆえに、症状を悪化させてしまっている人がいるのです。アトピー性皮膚炎の人は、先天的に肌の状態が過敏で、アレルギー反応を起こしやすくなっています。特に肌の表面の角質層に炎症は生じやすく、そこを指でかくことで肌のバリア機能が破壊され、炎症が肌の奥にまで及んでしまうのです。

そんな肌の症状を改善するには、外的な肌の刺激となる化粧品そのものを使用しないことがなによりです。ところが、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、オーガニック化粧品を使い、「それを使うのは止めた方がいいですよ」とアドバイスをすると、「なぜですか? オーガニックだから安心でしょ?」とオーガニック安全神話にハマってしまっている人がいるのです。オーガニック化粧品だから「かゆくならない」という安全神話はありえません。とはいえ、オーガニックそのものを否定するわけでもありません。農薬は化学物質で人体にも影響があるので、農薬がたっぷりついた野菜と、低農薬の野菜が並んでいたとしたら、私は後者の方を購入します。

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