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美肌神話から目を覚ます②

生まれながらの細胞の個体差は、ご本人にはどうすることもできません。ご両親が老人性色素斑をたくさん持っていれば、そのお子さんもシミができやすくなります。スキンケアに一生懸命取り組んで食い止めたとしても、他の人と比べてシミができやすい体質であることに変わりはありません。ひとりひとり肌の細胞の状態は異なっているにも関わらず、肌の構造が同じというだけで、すべての人の肌を同じ方法で美肌にできると思うのは、おかしくはないですか? こんな話をしたところ、ある女性から、「共通のスキンケアで美肌は実現できないとおっしゃいますが、みなさんスキンケアの方法として保湿をすすめています。

たったひとつの保湿によるスキンケアも、みんなに共通した方法であり、個別のスキンケアとは異なると思うのですが」との質問を受けました。ここでスキンケアについて改めて申し上げます。スキンケアのために、高価な美容液を使用したとしても、老化に関係したシミを消すことはできません。食事を与えるかのごとく細胞に直接栄養分を補給することも難しい。つまり、肌の奥の細胞へ直接働き掛けて老化を食い止めることは、化粧品や医薬部外品ではできないのです。

では、細胞の老化を食い止めるために、肌の表面からどのようにアプローチすればよいのか。その唯一の方法が、「保湿」なのです。保湿によって肌の表面を保護すると、外からの刺激によるダメージを受けることを防ぐだけでなく、傷ついた細胞は修復するチャンスを得ることになります。細胞が健康な状態になれば、細胞の老化を防ぐことにもつながるのです。そして、保湿の方法は人それぞれ違ってきます。肌が乾燥している人は、こまめに保湿を心掛ける必要があります。どのくらいの化粧品の量と、何回保湿をするかは、その人の肌の状態によって変わってきます。

そのバロメーターのために、誰もが共通する美肌の感触を思い出していただきたい。ご自身の肌を毎日手のひらで触っていると、「今日はモチモチしている」「ちょっとカサついている」などの変化はわかるはずです。その肌の状態に合わせて、保湿をしていただきたいのです。「保湿」という言葉はひとつでも、肌を守るための保湿の方法には個人差があります。その個人差こそが、スキンケアには大切であることを知っていただきたいのです。他人がいいといった方法が、必ずしもみなさんの肌にいいとは限らない。ご自身に合った保湿の方法を見つけていただきたいと思います。

美肌神話から目を覚ます①

突然ですが、みなさんは、どんな異性の顔がお好みですか? 目が大きい、口が小さい、鼻が高い、眉毛が太い、頬骨がほどよく出ている。顔のひとつひとつのパーツを見ても、好みはさまざまです。目鼻立ちの好みは人それぞれですが、肌の状態についてはどうですか? 手のひらで他人に触れたときに、ガサガサして弾力のない肌と、しっとりとしてモチモチとした肌では、後者に軍配が上がるでしょう。年齢に関係なく、キレイな肌に対する好みは、全ての人に共通していると思います。美肌に対する好みが共通の上に、肌の基本構造もみな同じ。ならば、スキンケアの方法さえ間違えなければ誰でも美肌を実現できる。そう思う人はいるはずです。

シミやシワが気になり始めた頃に、スキンケアや顔のマッサージなどで「美肌」を実現している人を見たら、同じ方法を実践してみたいと思いませんか? ところが、その人と同じ方法を実行しても、シミやシワは消えない。キレイな肌のイメージは共通しているゆえに、他人から見ても自分の肌は衰えていると思われる。考えただけでもため息が出そうです。手を抜いたわけではなく、最新の方法も実践している。だけど、肌の衰えは隠せない。みなさんの努力が報われないことに、私は心が痛みます。高価な化粧品を買い、たくさんの時間を割き、それでも美肌を得られない。時間とお金が失われただけで、肌の状態は変わらないのですから。しかし、今日からのその努力を止めていただきたい。美肌神話から目を覚ましていただきたいのです。

どんなにお金と時間をかけても美肌が実現できないのは、方法こそが問題といえます。逆に、お金と時間が掛けられない方でも、方法さえ間違わなければ美肌を実現できます。「あの人と同じものを使って、同じ方法でスキンケアをしよう」という考えそのものを捨てていただきたいのです。肌の基本構造が同じといいましたが、人間には細胞の個体差があります。構造は同じでも細胞ひとつひとつの強度や寿命は人それぞれです。その差は、生まれたときから細胞の中の遺伝子で決まってきます。子どもの頃からソバカスができやすい人、肌の色が濃い人、あるいは、白い人、肌の弾力が弱い人、刺激を受けるとすぐに炎症を起こしてしまう人、それら全ては遺伝子が関係しているのです。

ピーリングのしすぎは禁物!②

一般的にニキビ防止やシミを取るための化粧品には、ごくわずかな酸しか入っていないため、健康な状態の肌であれば、使用しても問題は生じにくい。しかし、すでにダメージを受けている肌には悪影響を及ぼすことがあるのです。多くの女性は、毎日のようにお化粧をしています。化粧品には鉱物などが入っており、肌にとっては刺激物になるため、寝るときには洗顔して化粧品を落としているはずです。この洗顔中にも、肌の表面の古い角質層ははがれ落ちています。汗でも落ちにくい化粧品を使用している方はいますよね。それを落とすために、クレンジングと洗顔料を使い、指先や手のひらで何度も肌をこすり、何回も顔を水で流しているうちに、ピーリングした後のように肌の表面の角質層は失われていることがあるのです。

この状態で、今度は、ピーリング剤の入った石鹸などを用いたらどうなるでしょう。答えは簡単です。ピーリング剤が肌の表面だけでなく奥までダメージを与えてしまうのです。すでに女性の中には、「ピーリングの後に肌が赤くなった」「肌がヒリヒリ」としたなどの経験をされている方もいると思います。赤く炎症を起こし、ヒリヒリと痛いのは、肌の奥までダメージが及んでいる証でもあります。なぜならば、肌の表面の角質層には神経も血管も通っていないため、炎症を起こすことも痛みを感じることもあり得ないからです。つまり、痛みや赤みが生じたときには、角質層の下の肌の組織が炎症を起こしていることになるのです。肌の奥が炎症を起こすと、紫外線などの身体の外からの敵も侵入しやすくなるだけではありません。

不必要となったメラニン色素が身体の外に捨てられにくくなり、メラニン色素を生み出す色素細胞も、暴走を始めてどんどんメラニン色素を作るようなことも起こります。シミを消すはずのピーリングで、新たなシミを生み出してしまう。こんな状況は避けなければなりません。とはいえ、ピーリングも肌に合った方法で行えぼ、ニキビ痕も肌の表面近くに生じたシミも消すことができるため、美肌には役立ちます。ただ、無暗にピーリングを行って肌に悪影響を及ぼさないように注意していただきたいのです。ご自身でどう行えばいいかわからないときは、皮膚科の医師に相談してみてください。

ピーリングのしすぎは禁物!①

美白の化粧品でも消えないシミをなんとかしようと、「ピーリング」を行っている人もいるでしょう。ピーリング化粧品には、グリコール酸やフルーツ酸などの成分が配合されています。これらの成分の「酸」の力で、肌の表面の角質層を軟らかくして、シミをはがし落とすという方法です。シミが肌の表面近くにあれば、その表面をはがすことでシミも消すことが可能です。また、こキビも、肌の表面の毛穴が塞がって起こるため、蓋となっている角質層を取り除いて毛穴を開くことで、こキビは治りやすくなります。加えて、ニキビ痕で陥没した肌も、ピーリングの後に肌の表面が新しい細胞で満たされればきれいになります。

皮膚科でも、一般的にシミやニキビ痕を消すために、ケミカルピーリングの治療が行われています。専門の医師が治療し、肌のケアも指導してくれるはずです。肌の治療で行われているピーリングですが、みなさんもご自宅で気軽に体験できるようになっています。ピーリング剤を配合した石鹸や化粧水、乳液などが店頭にはたくさんあるからです。ご自身の肌に合わせて購入する選択肢は山ほど。そんなピーリングのブームといえるほどの状況に疑問に感じていたところ、「ピーリングをしたら肌が赤くなっちゃたんです」という患者さんがいました。「普通にピーリング剤入りの洗顔料を使用していただけなのに、頬骨の辺りが赤くなって痛い」とおっしゃって、その方の肌を見ると炎症を起こしていました。

シンプルな成分のスキンオイルを塗って保湿し、紫外線に当たらないようにアドバイスしたところ、数日後には肌が正常に戻ったので、「なぜピーリングをしたの?」と尋ねてみました。「だって、頬骨のシミが気になって、ピーリングなら消せると思ったのです。でも、ピーリングを1回しても消えないし、もっとたくさんピーリングをすれば消えるかと思ったのです」この話を聞いて驚きました。過剰なピーリングは、肌にダメージを与えかねません。このことを知らないまま、ピーリングを繰り返している人がいたのですから。幸いこの方の肌は、保湿と紫外線対策で正常に戻りましたが、方法と肌の状態によっては、余計にシミが増える可能性もあるので注意が必要です。

オーガニック安全神話②

オーガニック化粧品が肌にとってパーフェクトにいいとはいえないのです。合成保存料が入っていないということは、成分が変質しやすいことにつながり、また、肌の弱い人には配合されている成分が刺激になることもあります。オーガニック化粧品は、化学物質を加えずに、自然の素材を用いているという特徴があります。化学物質は人体に悪影響を及ぼし、自然のものは身体にいい。このロジックは、アレルギー体質の人には当てはまらないのです。敏感肌でない方も、自然のもので肌に影響を受けることがあります。うるしの木を触って肌がかぶれることはあるでしょう。毎春多くの人を悩ます花粉症も、スギやヒノキの花粉が原因です。

カニやソバなどの食べ物で、じんましんや喘息、ひどいときにはショック状態に陥る人もいます。自然イコール人体にとって安全とは必ずしもいえないのです。一般的に肌にはビタミンCが効果的な働きをするといわれています。レモンを食べると、それに含まれるビタミンCは、肌のコラーゲンが作られることをサポートし、抗酸化作用で肌の細胞が酸化によってダメージを受けるのを防ぐなど、肌に役立つことはたくさんあります。しかし、レモンであればどう使っても効果がある、ということではありません。ずいぶん昔の記憶ですが、真夏の紫外線を浴びた後に、レモンの輪切りを顔の上にのせる美容法がありました。

レモンに含まれる抗酸化作用を活用して、紫外線によってダメージを受けて酸化した肌をケアするという考え方だったと思います。ところが、レモンは強い酸性の果物です。直接肌に置くと、強い酸が肌の表面の角質層を破壊してしまうのです。肌の細胞を守るはずのレモンによって、肌は健康を取り戻すどころか紫外線を体内に侵入させやすい状態にしてしまいます。レモンを食べるのはいいけれど、輪切りにしたレモンを顔にのせるのはダメ。このように、たとえ安全といわれるオーガニックの化粧品でも、使い方を誤れば肌にダメージを与えることはありえるのです。特にアトピー性皮膚炎の人の肌は、そもそも表面の角質層が破壊され、肌の奥に免疫細
胞が集結していますので、わずかな刺激に対してもかゆみの症状を引き起こします。

オーガニックであっても、肌には「刺激」として伝わってしまうのです。最も大切なのは、刺激を避けて炎症を止めること。化粧品をなるべく使用しないで、肌の健康を取り戻すことが先決と言えるのです。もちろん、オーガニック化粧品を使って肌の調子がいいと感じている方は、そのまま使うことに異論はありません。それは、オーガニック化粧品だけでなく、普通の化粧品についてもいえることです。ただ、「オーガニック化粧品イコール安全」という考え方は、肌が敏感な人はど捨てていただきたいと思います。安全神話に基づく商品選びではなく、ご自身の肌に合ったものを選ぶように心がけてください。