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紫外線とフリーラジカルのダブルダメージは避ける!②

防御反応を失った肌には、皮膚がんも生じやすくなります。人間の身体は、細胞の中にある遺伝子、すなわち設計図によって作られています。細胞分裂によって新しい細胞ができるのも、この設計図をもとにしています。紫外線はこのDNAも傷つけてしまうのです。いわば正常な設計図から誤った設計図に持ち替えた状態です。本来の細胞の役割を逸脱して、増えてはいけない場所で増殖し、他の細胞を破壊していきます。それががんです。スポーツを楽しむ人だけでなく、長年、屋外で作業をしている人の肌も、強い紫外線を浴び続けることにより、肌は弾力やハリを失いシワヤシミも増えやすい。そして、がんにも結び付くことがあるのです。

もうひとつ、激しい運動そのものも、肌の老化に関係しています。人間の身体を作っている細胞は、常に分子という物質を結合させたり離したりしています。そのとき必ずエネルギーが放出されます。木と木をこすり合わせると、木の炭素が空気中の酸素と反応することで、酸化して火が生じるのと同じです。ただし、定められた分子を結合して、離している分には、人間の細胞も火事には見舞われません。しかし、運動という細胞への負荷がかかったときに、火事が起こりやすい状態になるのです。細胞の中で、分子がくっついたり離れたりしているのは、電子という手を介して行っています。

磁石のマイナスとプラスのように、互いに求めあう電子同士はくっつきますが、マイナス同士やプラス同士では反発し合います。ところが、運動によってこの結合が外れやすくなってしまうのです。手を離してしまった分子は、手をつなぐために必死に相手を探します。大人しく別の相手が近づいてくるまで待っているようなことはしません。別のパートナーの相手まで奪って無理矢理結合しょうとするのです。このとき火事のようなエネルギーが生じますが、そのひとつを「フリーラジカル」といいます。フリーラジカルは、細胞にとっては火種のような存在で、コレステロールや中性脂肪を酸化させて「過酸化脂質」というやっかいな物質を生み出します。まさにこれが火の手。

過酸化脂質は、次々と細胞を破壊していきます。加えて、細胞の中の遺伝子を傷つける物質も生み出して、血管にもダメージを与えます。しかも、そんな火事は身体のどこで起きるかわかりません。肌の細胞でも生じる可能性があるのです。それを食い止めるには、フリーラジカルを防ぐことが必要であり、激しい運動も肌にとってはよくありません。もちろん、運動は、人間の長寿には欠かせない行為です。骨格や筋肉を鍛えることで老化に伴う運動機能の低下を防ぎ、脂肪を燃焼させて生活習慣痛を改善し、動脈硬化を防ぐことで心筋梗塞や脳梗塞の予防にもつながります。加えて、免疫機能を正常化に導き、脳にも好影響を与えるといわれているほど、全身の健康にとって運動は不可欠です。

紫外線とフリーラジカルのダブルダメージは避ける!①

私たち黄色人種には、白人の人よりも肌の色が濃い分、紫外線を防ぐための盾が多いとのお話をしました。しかし、防衛能力に優れているから日焼けをしても安心とはいえません。なぜならば、強い紫外線は肌の細胞の老化を加速させるからです。結果として、シミやシワができやすい肌になります。中には、ゴルフやテニス、マラソンなど、屋外のスポーツを楽しんでいる方もいると思います。そんな方々にスポーツを止めましょうとはいいません。ただ、屋外でのスポーツは、紫外線によって肌のダメージを受けやすいことを知っていただきたいのです。紫外線は、太陽から地球へ降り注ぐ電磁波のひとつです。

紫外線は、10nm~400nmの波長を持っていて、その波長によって種類が分かれています。全部の紫外線が地球に到達するのではなく、地球の周囲を取り囲むオゾン層によって阻まれる種類もあります。紫外線の中でもUVA(320nm~400nm)とUVB(280nm~320nm)は地上へ到達するのです。UVAの方がUVBよりも地球上にたくさん届いていますが、どちらも人体に悪影響を及ぼす紫外線です。長時間、真夏の太陽の下にいると、肌の表面のガーゼ部分を通過し、その下のハンカチの部分、土台となるスポンジの部分にまで強い紫外線は侵入していきます。スポンジの部分には、コラーゲンやヒアルロン酸などがありますが、それらの細胞や組織は紫外線によって破壊されていきます。すると、スポンジは正常な状態を維持できなくなります。

肌の表面の圧力も支えられなくなり、シワも生じやすくなるのです。これを「光老化」といいます。光老化では、シワだけでなくたくさんのシミもできます。スポンジの部分が破壊される結果、スポンジとハンカチの間にある色素細胞もダメージを受けるからです。色素細胞はシミの原因となるメラニン色素を作る源の細胞です。本来、この色素細胞が被壊されれば、メラニン色素も作られず、シミもできない。ところが、強い紫外線にアタックされた色素細胞は、おだやかな表情を一変させ、まるで怒ったようにメラニン色素をどんどん出し始めるのです。

たくさんできたメラニン色素も、ハンカチの部分が正常であれば、その上のガーゼの部分に押し上げられ、アカと一緒に身体の外に捨てられます。ところが、スポンジの土台が崩れると、ハンカチの部分も壊れるだけでなく、厚みを帯びていくのです。壊れている上にハンカチの層が増えるため、メラニン色素はガーゼの部分まで押し上げられることができません。その結果、どんどんシミができるのです。加えて、危機的な状態を打開しようとして、体内では毛細血管が発達して肌の細胞に栄養を送り込もうとします。ところが、受け取るべき細胞が紫外線で被壊されているために血流は停滞し、肌の色も黒ずみ、イボなどの感染症も起こしやすくなります。こうなると症状は悪化の一途をたどることになるのです。

白ければよい、は間違い③

メラニン色素は、紫外線という強敵に抵抗するための武器です。武器を持たない状態で、紫外線に当たれば、当然、肌はダメージを受けます。美肌を望み、美白に関心のある人の中には、ヨーロッパの色白の肌の人々に、憧れのような気持ちを持っている方もいます。しかし、白色人種の方々は、肌にメラニンが少ないために、肌は透きとおり、毛細血管の色の青さが浮き出て青白くも見え、紫外線にとても弱いのです。そのため、日常生活の中でもシミやソバカスなどが生じやすく、南国のバカンスで日光浴を楽しんでいる白色人種の方々の肌を見ると、全身がシミやソバカスだらけというのは珍しいことではありません。

また、肌が白い人は、皮膚がんになりやすいといわれています。肌の色が白い人は、肌の色が濃い人よりも、なお一層紫外線から身を守る努力をする必要があるのです。日本人の肌は黄色です。「私の肌は白い」と反論する方もいるかもしれませんが、人種的には黄色人種であり、皮庸にはメラニン色素という紫外線から身を守る武器をある程度備えていることになります。つまり、色白の人よりも、少し色のついた肌の人の方が、紫外線に対する防衛能力が優れているともいえるのです。

そんな優れた特徴を無理に手放す必要が、なぜあるのですか? 単に色白=美白、さらには、それに結びつけた美肌の化粧品メーカーの戦略にのり、わざわざ健康的な肌をなぜ捨てようとするのですか? 無理に色白になる必要はまったくありません。生まれ持った肌の色を活かして、健康的な美肌を考えていただきたいと思います。肌の色が白ければよいというのは、単なる化粧品のイメージ戦略に乗った発想にすぎないと私は考えています。

白ければよい、は間違い②

肌の色が異なる人々でも、色素細胞の数は同じです。ただし、肌の色によってどの程度の大きさで、どのくらいの量のメラノソームを出すか、生まれたときから決められています。そのメラノソームからメラニン色素が程良く出されることで、肌の色になるのです。肌の色だけでなく、髪の色を見ると、色素細胞は人種に関係なく数が同じというのがよくわかります。色素細胞は髪の毛を生み出す「毛包」にも存在しているからです。毛穴の中で髪の毛を作っているもとになっている器官で、ここにも色素細胞はあります。

もし、色素細胞の数によって肌の色が変わるのであれば、毛包の色素細胞の数も少なくなって、髪の毛の色も白人は金髪や白髪のみと、決定づけられることが考えられます。しかし、白人の方々の中にも髪の毛は黒、あるいは、茶色の人がいます。肌の色イコール髪の色にはなっていません。もともと人間の肌がどの色だったかはわかりませんが、何百万年もの月日を経て紫外線と共存してきた中で、その防御の必要性に応じて皮膚の色を最適なものにしてきたことは考えられます。

メラニン色素の量がたくさんあれば、紫外線を防ぐ盾をたくさんもっていることになります。自然環境の中で、肌の色が濃い人の方が、紫外線にも対抗しやすい肌を持っていることになるのです。『種の起源』の著者である19世紀の英国の自然科学者チャールズ・ダーウィンの考えに基づけば、赤道直下の島で強い紫外線を浴びる中で、肌の病気などに侵されることなく健康で生き延びた人は、メラニン色素を肌にたくさん作って、きっと肌も茶色から黒色だったと思います。

逆に、緯度が高くて、1年のうちでも日光が差す時間が限られている地域の人は、浴びる紫外線量も少ない。メラニン色素をたくさん作る必要もなく、肌の色は白くなっていった。そんな祖先の遺伝子を受け継いで肌の異なる人々がいます。人間は生物の一種であり、今でも進化の過程にいます。最近は、地球を取り巻くオゾン層が破壊され、紫外線量が多くなったといわれますが、未来の人間は強い紫外線量から身を守るためにメラニン色素のたくさんある肌を持つ人が増えるかもしれません。逆に、建物の中での生活が増え、メラニン色素が減ることも考えられます。

白ければよい、は間違い①

子育てや仕事などで忙しいと、スキンケアに時間やお金を掛けたくないという人はいます。そういう方々に対して、「スキンケアは保湿で肌を保護するだけでいいのです。お手持ちの化粧水や乳液を使って1分~2分で済ませてください」とのお話をしたところ、「それでは美白を実現できないと思います」と悲しそうな顔をされる女性がいました。なぜ、みなさんは「美白」にこだわるのですか? 化粧品では「美白」という言葉がよく使われていますが、美白=白い肌というイメージは、肌の健康から考えるとよくありません。

もともと白色人種で白い肌を持っている人たちならばともかく、私たち黄色人種は、白くなる=肌の健康を失うことにつながりかねないからです。美白にこだわる必要はまったくありません。そんな考えは今すぐ止めていただきたいと思います。では、人間の皮膚の色は、何で決まっていると思いますか? 答えは、シミの原因となるメラニン色素の量です。メラニン色素は、紫外線から身を守るために重要な役割を担っていますが、その量によって肌の色は異なっているのです。

一言でメラニン色素といいますが、種類が2つあって、赤い色のユーメラニンと、茶色から黒色のフェオメラニンがあります。これらのメラニン量で肌の色が違っているのです。先程からメラニン色素は色素細胞で作られているという話をしてきましたが、人間の肌は異なっていても、色素細胞の数は変わりません。肌の白い人でも、黒い人でも、色素細胞は同じように1平方センチメートル辺りおよそ1000個~1500個存在しています。色素細胞は、肌の弾力やハリにも関係しているといいましたが、仮に肌の白い人の色素細胞が少なければ、肌の黒い人よりも肌の弾力やハリは弱いということになります。

しかし、人間の身体の仕組みとして、大切な肌を守るために色素細胞が肌の色に関係なく備わっているのです。つまり、肌の色を左右しているのは、色素細胞ではなく、メラニン色素の種類と量といえます。メラニン色素は色素細胞で作られるといいましたが、正確には、色素細胞が作っているのはメラノソームというカプセルのような小さな器官です。それを肌の上の部分すなわち「表皮」に向かって出しています。メラノソームは、表皮のあちこちに点在してメラニン色素を作り出しているのです。