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オーガニック安全神話①

アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、「オーガニックの化粧品を使っている」という方がいます。アトピーなどの症状がない、普通肌の方々の中にも、肌を守るために、合成保存料の入っていない化粧品を選んでいる方はいます。保存料というのは、商品の成分が変質しないように加えられている成分です。たとえば、炊きたてのご飯も、そのまま放置しておくと、乾燥してカサカサするだけでなく数日もすればカビが生えるはずです。私たちの身の回りには、目に見えない細菌がたくさんいますので、食品だけでなく化粧品にも雑菌は付着します。それが化粧品の中で増えてしまう。あるいは、化粧品の成分によっては、空気に触れることで性質が変わってしまうものもあります。

それを「酸化」といいます。いずれにしても、新しく買った化粧品の梱包を開けたときから、成分は変化しやすい状態になるわけです。そんな変性を防ぐのが保存料です。人工的に作られた合成保存料は化学物質のため、肌が敏感な方には、刺激となる可能性があります。また、「化学物質は健康によくない」と考える方々もいるため、保存料の入っていないオーガニック化粧品もあるのです。オーガニックは、遺伝子組み換えや、化学合成された肥料などを使わずに育てられた作物に由来します。害虫や病気を防ぐための農薬は、土壌に悪影響を与え、作物への栄養価も減少させ、健康被害のリスクもあります。

農家の方々にとって、大量生産のためにはなくてはならない農薬ですが、健康への関心が高まるにつれて、オーガニック関連商品の人気は高まっているのです。もちろん、使用されている化粧品で肌の状態がよければ問題はありません。しかし、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、オーガニック化粧品を使用しているがゆえに、症状を悪化させてしまっている人がいるのです。アトピー性皮膚炎の人は、先天的に肌の状態が過敏で、アレルギー反応を起こしやすくなっています。特に肌の表面の角質層に炎症は生じやすく、そこを指でかくことで肌のバリア機能が破壊され、炎症が肌の奥にまで及んでしまうのです。

そんな肌の症状を改善するには、外的な肌の刺激となる化粧品そのものを使用しないことがなによりです。ところが、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、オーガニック化粧品を使い、「それを使うのは止めた方がいいですよ」とアドバイスをすると、「なぜですか? オーガニックだから安心でしょ?」とオーガニック安全神話にハマってしまっている人がいるのです。オーガニック化粧品だから「かゆくならない」という安全神話はありえません。とはいえ、オーガニックそのものを否定するわけでもありません。農薬は化学物質で人体にも影響があるので、農薬がたっぷりついた野菜と、低農薬の野菜が並んでいたとしたら、私は後者の方を購入します。